中周波治療・筋刺激

皮膚抵抗の少ない中周波電流(1,000Hz以上)は、皮膚の侵害受容器への刺激を抑える特性があるといわれ、深部組織への刺激に適しています。

治療的電気刺激による運動機能改善

筋への電気刺激は、機能的電気刺激[FES(Functional Electrical Stimulation)]と、治療的電気刺激[TES(Therapeutic Electrical Stimulation)]と大きく二分されます。機能的電気刺激の目的は、中枢神経系の障害によって失われた回復不能の生体機能を代行・代償しようとするものです。

治療的電気刺激の目的は、運動機能改善、排尿機能改善、鎮痛、末梢循環、創傷治癒、骨癒合促進など様々あります。 ここでは治療的電気刺激による運動機能改善を中心に記載します。

筋刺激装置

筋刺激装置

筋刺激装置使用写真

筋刺激(EMS)とは

生体では、筋、心臓、そして脳などから電気が発生しており、それぞれ筋電図、心電図、脳波などとして検出・記録できます。このいわゆる生体電気は、生命現象の維持・継続に不可欠な働きをしています。 それとは別に、筋や筋を支配する運動神経を電気(電流)で刺激すると、その筋は「収縮」するという現象を引き起こすことは古くから知られています。

近年、この刺激として使う電気の出力(強さ)、周波数、パルス幅、刺激時間の長さ、 その他の条件によって筋収縮の仕方が異なることが判ってきました。
それらの詳細については電気生理学の研究で明らかになっていますが、そのことを利用して外部より 筋を電気(電流)により刺激し収縮する方法が、EMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれるものです。EMSにおける電気刺激は、通常の自然現象の中では存在しない刺激ですが、出力や周波数、その他の刺激条件を任意に、安易に変化させられますので適切な条件で実施でき、きわめて高い効果が得られます。しかも副作用等も目立つものはありません。

筋刺激による運動機能改善効果

筋に対する治療的電気刺激効果は、遠心性と求心性の2種に分けられます。

遠心性効果

運動神経を興奮させ、筋を収縮させることによって得られる効果です。
筋力増強、筋萎縮の防止・改善、筋ポンプによる末梢循環の改善などに用いられています。

求心性効果

痙性筋の拮抗筋刺激(相反抑制)や、Ib線維を選択的に刺激することで痙性の減弱効果があります。
例えば、脳卒中片麻痺患者の下腿三頭筋の筋腱移行部とアキレス腱部に対する刺激で、歩行速度の改善や痙性の減弱(chen1999)がみられたとの報告があります。

筋刺激によく利用される中周波電流

中周波のグラフ

中周波電流の生体に対する特性

中周波電流は、その生体に対する特性から筋刺激によく利用されています。

組織への浸透性が優れている

生体(特に皮膚)には、電流の周波数に対して逆比例する容量性抵抗があり、例えば50HZの交流電流
では皮膚抵抗値が3,200Ωに対して5,000HZでは51.6Ωにまで下がります。結果として、電流を上げても患者さんに不快感を与えず刺激をすることが可能となります。

神経伝導を阻止する

電流が流れている間、暫定的な神経膜脱分極を生じ、神経の伝導を阻止します(ウエデンスキー効果)。 中周波電流は痛みの伝達と知覚に対して阻止効果を持っており、この効果によって刺激電極下において知覚が減少します。

筋刺激における中周波電流の歴史

中周波電流が筋刺激に用いられるようになったのは、ロシア(当時ソビエト)が最初と報告されています。筋への電気刺激そのものは20世紀初頭から麻痺筋への刺激などで研究が始まっていました。 しかし、その多くは直流パルス波(または短形波)の低周波刺激のために、出力(電流量)を上げていくと皮膚の侵害受容器を刺激してしまい、痛みを引き起こしてしまいます。
筋を充分に収縮させることができず、効果を上げにくかったわけです。特に大腿四等筋群などの大きい筋、筋群に対してその傾向は顕著でした。

バースト波(写真)

バースト波(写真)

バースト波(イメージ)

バースト波(イメージ)

1972年のミュンヘンオリンピックのこと、ソビエト選手団にとても発達した筋肉を持つ選手がおり、目を引きました。翌年、カナダの生理学者がソビエトを訪れ、その理由が筋肉への電気刺激によるトレーニングの成果とわかりました。

1977年、この研究の第一人者ともいえるソビエト.モスクワ.スポーツアカデミーのDr.KOZZがカナダを訪問、コンコルディア大学で筋への電気刺激;Electrical Muscle Stimulation=EMSの詳細を発表し、EMSの研究がカナダ全土、そしてアメリカ、ヨーロッパ、オーストリアなどへ広がっていきました。Dr.KOZZによれば、中周波といわれる2,500Hzの交流正弦波を断続して発振させる(バースト波)ことにより、患者は痛みを覚えることなく筋の最大収縮が得られるとしています。随意収縮のみより10~20%の向上がみられた、とのことです。2500Hzという最適周波数は、実際の臨床から求められました。さらに、刺激時間と休止時間のサイクルも治療効果に大きく影響するとしています。

最新の中周波治療・筋刺激装置

従来の機器では、キャリア(搬送)周波数が2,500Hz固定でしたが、 日本メディックス製造の中周波筋刺激装置「エムスティム ウィット」 では、2,000~6,000Hzまで500Hzステップで変更可能です。キャリア周波数を変更することでパルス持続時間を変更(500~166μsec)することが可能なため、これによりさまざまな筋の大きさに対応することが可能です。
さらに、中周波筋刺激装置「エムスティム ウィット」では従来固定であったデューティ比の変更が10~50%(10%ステップ)の範囲で可能。生体に与えるエネルギー量をコントロールすることができます。
*デューティ比:パルスのON/OFFの時間比率を言います。

デューティ比50%(イメージ)

デューティ比50%(イメージ)
*上の波形は、いずれもデューティ比50%を示しています。

また、日本メディックスが培ってきた中周波治療のノウハウを結集した製品として 中周波多目的治療器「クリオス アンフィニ」 があります。従来の干渉低周波電流による治療(2つの異なる搬送周波数を干渉させ、差異の低周波を患部の治療に用いること)も可能で、様々な中周波電流を用いた新たな治療モードが搭載されております。干渉波機能はその内の一つということになります。 中周波多目的治療器「クリオス アンフィニ」は、干渉波治療器としても、神経筋刺激(NMES)治療器としてもお使い頂けます。

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